製品を溶かして「金」を取り出す
貴重な金
貴金属の中でも、特に回収対象となりやすいのが「金」です。ご存知の通り、金は大変価値のある貴金属です。金鉱山から鉱石を取り出し、そこからさらに取り出される「金」。
なんと、現在までに採掘された金の総量はおよそ19万40トンあると言われ、国際基準プールのおよそ4杯分にも相当するのだそうです。金を回収する方法は、アクセサリーなどの貴金属などが対象となりますが、実はパソコンやスマートフォンなどさまざまな家電製品にも使われているため、最近では貴金属回収でも家電を回収するケースも多く見られます。
貴金属回収業者では、こうした製品をさまざまな場所で回収し、金属のみを取り出すために不要な部分を溶解・還元したり、濾過するなどの作業を行なって、純度の高い金粉を取り出します。取り出された金粉は、再び熔解され、結晶化させるなどの工程を経て純度の高いインゴット(鋳造塊)へと加工されます。
さらに出来上がったインゴットは厳しい検査や軽量を行い、金塊として世の中に出回ることになるのです。
製品から金を取り出す方法
貴金属ジュエリーや工業用のスクラップから金を取り出すための溶解・還元の作業ですが、具体的にはどのように行われているのでしょうか。
いくつかのやり方があるようですが、王水と呼ばれる酸性の溶液を使って製品から貴金属を取り出すという方法があります。王水は、強力な酸化力を持つ溶液なのですが、プラスチックや樹脂は溶かさずに、金属のみを溶かすことができるという特徴があります。
そのため、貴金属回収によって集められた製品は、王水に漬け込むことで王水の中に溶け込みます。そこで今度は、王水に還元剤を投入することで、液体の中から金を固体化させて取り出すという工程が行われるのです。このとき金は粉末状で取り出されます。
残りの王水は濁り水のような状態となっています。還元によって取り出された金粉は、まだ還元剤や水分が残っているため、金粉濾過と呼ばれる洗浄作業が行われます。
ただし、この時点での金粉はまだ金色ではありません。金粉をさらに高温で熔解、冷やし固めることによってようやく金塊へと変化させることができるのです。